テラスハウス・連棟住宅は建て替えできる?建て替え時の注意点を分かりやすく解説

テラスハウス・連棟住宅は建て替えできる?建て替え時の注意点を分かりやすく解説

テラスハウスや連棟住宅にお住まいの方のなかには、老朽化や相続、住み替えをきっかけに「建て替え・再建築をしたい」と考えている方も多いのではないでしょうか。一方で、隣家と繋がった建物であるがゆえに、「丸ごと建て替える場合」と「自分の家だけ切り離して建て替える場合」で何が違うのか、権利形態によって条件が変わるのではないか、といった疑問を抱えている方も少なくありません。

この記事では、連棟式建物を丸ごと建て替えるケースと、切り離して建て替えるケースそれぞれの条件や注意点、建て替えできない場合の選択肢について解説しますので、建て替え・再建築を検討している方はぜひ参考にしてください。

目次

そもそも連棟式建物とは?

連棟式建物とは、複数の住戸が壁や柱、基礎などを共有しながら一体的に建てられた建物のことです。建築時期や構造、地域によって「連棟住宅」「テラスハウス」「長屋」などと呼び方が異なりますが、いずれも隣家と構造的につながっている点は共通しています。

連棟式建物の建て替え・再建築を考えるうえで特に重要なのが「権利形態による違い」です。同じ見た目の連棟式建物であっても、法律上は分譲マンションのような「区分所有建物」として扱われる場合と、戸建てが連なっているだけと扱われる場合とがあり、どちらに該当するかによって建て替えの進め方や必要な手続きが大きく変わります。この記事では、まず建物全体を丸ごと建て替えるケース、次に自分の一戸だけを切り離して建て替えるケースに分けて、権利形態ごとの条件を整理していきます。

連棟式建物を丸ごと建て替える場合

連棟式建物を丸ごと建て替える場合は、自分の意向だけでは建て替えることができません。各住戸の所有者と協議を行いながら建て替え計画を立てる必要があります。

所有者の80%(5分の4)が建て替えに同意する

区分所有法では、建替え決議を行うには「区分所有者及び議決権の各5分の4(80%)以上」の賛成が必要と定められています。ここでいう議決権は、単純な戸数の割合ではなく、各住戸の専有部分の床面積などに応じて算定されるのが一般的です。

例えば5戸で構成される連棟式建物であれば、区分所有者の数としては5戸のうち4戸以上の賛成が目安になりますが、住戸ごとに面積や価値が異なる場合は議決権割合が単純な戸数比とは一致しないこともあります。実際の要件や算定方法は物件の管理規約や区分所有法の解釈にもよるため、正確な判断は専門家に確認することをおすすめします。

反対する所有者の住戸を買い取る

建替え決議に反対する所有者がいる場合、その住戸を買い取ることで賛成側の区分所有者・議決権の割合を引き上げ、5分の4以上の要件を満たす方法があります。区分所有法上、建替え決議が成立すると、賛成した区分所有者は反対した所有者に対して区分所有権および敷地利用権の売渡しを請求できる制度も設けられていますが、これはあくまで決議成立後の手続きであり、決議前に任意で買い取る場合とは進め方が異なります。

いずれの場合も、住戸の評価額や立ち退き時期をめぐる価格交渉が発生しやすく、当事者だけで話し合いを進めると感情的な対立に発展しかねません。弁護士や不動産鑑定士など専門家のサポートを受けながら進めるのが現実的といえるでしょう。

全ての住戸を自分の所有にする

区分所有建物であっても、すべての住戸を自分(あるいは特定の一者)が取得し、単独所有の状態にすれば、区分所有法上の建替え決議は不要となり、比較的自由に建て替えを計画できるようになります。

ただし、全戸を買い取るには相応の資金力と、他の所有者との粘り強い交渉が必要になるため、かなりの時間とお金を費やす覚悟が求められます。

連棟式建物を切り離して建て替える場合

連棟式建物全体ではなく、自分の一戸だけを切り離して建て替えたいと考える所有者も多いのではないでしょうか。この場合、難易度や必要な手続きは敷地・建物の権利形態によって大きく異なります。ここでは代表的な4つの形態に分けて整理します。

敷地全体を共有している場合

タウンハウスと呼ばれるタイプに多いのが、建物は住戸ごとに独立しているものの、敷地全体を複数の所有者で共有しているケースです。たとえば5戸のタウンハウスで、敷地全体を5人が持分5分の1ずつ共有しているような場合が該当します。

この場合、建物単独では独立していても、敷地が共有名義であるため、切り離しや建て替えに際して他の共有者の同意が必要になることがあります。共有物に対する変更行為は、民法上、共有者全員の同意が必要とされる場合があり、敷地の共有関係が区分所有的な性質を帯びていると判断されると、実質的に建替え決議に近い手続きが求められるケースもあるため、注意が必要です。

敷地が分筆されている場合

敷地の登記が住戸ごとに「分筆」されている場合、土地の権利については各所有者が独立して保有していることになります。この場合は敷地の権利関係については単独での判断がしやすくなりますが、地上の建物が区分所有建物として登記されている場合には、建物側の扱いが優先され、切り離しであっても建替え決議に準じた手続きが必要になることがあります。土地と建物、それぞれの登記状況をあわせて確認することが重要です。

建物が区分所有建物の場合

敷地の分筆状況にかかわらず、建物自体が区分所有建物として登記されている場合は、区分所有法の適用を受けます。自分の一戸だけを切り離して建て替えようとする場合であっても、それが共用部分(外壁・屋根・基礎など)の変更や実質的な建替えに該当すると判断されれば、区分所有者・議決権の一定割合以上の同意(変更の程度によって必要な決議の種類・割合は異なります)が求められる可能性があります。

戸建て同様の外観をしたテラスハウスであっても、登記事項証明書を取得すると「区分所有建物」と記載されているケースは実際にあります。見た目や住み方だけで「うちは戸建て扱いのはず」と判断せず、登記上の扱いを確認しておくことが大切です。

土地建物が独立している場合

一般的な「テラスハウス」の多くは、土地・建物ともに住戸ごとに独立して登記されています。この形態では、法律上は隣家と別々の不動産として扱われるため、区分所有法にもとづく建替え決議は不要で、比較的独立して建て替えを進めやすいといえます。

ただし、法律上独立していても、構造的には隣家と壁や基礎を共有しているケースが多いため、切り離し工事や解体にあたっては隣家への影響を避けられず、事前の説明や同意取得が事実上必要になります。「権利上は自由」でも「構造上は独立していない」という点を理解しておきましょう。

連棟式建物を建て替える際の注意点

権利形態を整理したうえで、建て替え・再建築を進める際には以下のような注意点があります。

敷地が接道義務を満たしているか?

建築基準法では、建物を建てる敷地は「幅員4m以上の道路に2m以上接していること」が原則として求められています。これを接道義務といい、満たしていない敷地は新たに建物を建てる際の建築確認が下りず、いわゆる「再建築不可」の扱いとなる可能性があります。連棟住宅や長屋が建ち並ぶ古いエリアでは、敷地の接道状況が現行基準を満たしていないケースも見られるため、事前の確認が欠かせません。接道義務や再建築不可の詳しい内容については別記事で詳しく解説していますので、あわせてご参考ください。

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建物を切り離すことができるか?

隣家と壁・柱・基礎を共有している場合、建て替えの前提として物理的な切り離し工事が可能かどうかを確認する必要があります。切り離し後に残る隣家側の建物について、強度低下や防水性能の低下が生じる可能性があるため、補強や補修を含めた計画が求められます。切り離し工事の詳しい内容や費用については、別の記事で詳しく解説していますのでそちらをご参照ください。

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住宅ローンを利用できない場合がある

連棟式建物は、権利関係が複雑であったり、再建築不可に該当していたりすると、金融機関から担保価値が低く評価され、住宅ローンの審査が通りにくい場合があります。特に切り離し前の状態や、敷地の権利が明確に分かれていない物件では、担保として単独で処分しにくいと判断され、通常の戸建てよりも融資条件が厳しくなる傾向があります。

金融機関によって審査基準は異なり、切り離し後であれば融資が通る場合もあれば、区分所有建物であることを理由に取り扱い自体を断られる場合もあります。建て替え計画を立てる際は、工事費用の見積もりだけでなく、早い段階で複数の金融機関に相談し、融資の見込みを確認しておくことをおすすめします。

合意形成の証拠は書面に残す

隣家や他の区分所有者との話し合いは、口約束だけで進めるとトラブルの原因になります。建て替えや切り離しに関する同意内容は、各所有者から署名・捺印された同意書などの書面を残しておくことが重要です。

同規模の建物を建てられない

建築当時は適法であっても、現行の建ぺい率・容積率の基準を超えている「既存不適格」の建物も少なくありません。この場合、建て替え後は現行基準に合わせて建物の規模を縮小しなければならず、今と同じ広さ・階数で再建築できないことがあります。事前に現行の建ぺい率・容積率を確認し、想定していた規模で建築できるかどうかを把握しておく必要があります。

敷地の一部が越境状態になる

分筆や切り離しを行った結果、屋根の軒先や庇、基礎の一部などが隣地にわずかに越境している状態が判明することがあります。連棟式建物は建築当時、隣家との境界を厳密に測量せずに施工されていることも多く、長年気づかれていなかった越境が、切り離しや建て替えのための測量をきっかけに表面化するケースも珍しくありません。

越境が見つかった場合は、そのまま放置すると新築時の建築確認や将来の売却でトラブルの原因になりかねないため、隣地所有者との協議や、越境部分の是正工事、あるいは「越境の状態を相互に認め合う」旨の覚書を取り交わすといった対応が必要になります。測量や境界確定の専門知識が必要になる場面のため、土地家屋調査士に相談するのが確実です。

建て替えができるか確認する方法

自分の連棟式建物が建て替え・再建築できるかどうかを正確に把握するには、以下のような調査・相談を行うことをおすすめします。

法務局で権利関係を確認する

法務局で登記簿謄本や公図を取得し、土地・建物が区分所有建物として登記されているか、敷地が共有か分筆かといった権利関係、境界や接道部分の名義を確認します。連棟式建物では、想定していた権利関係と実際の登記内容が異なっているケースもあるため、まずは書類上の情報を正確に把握することが第一歩です。

役所の建築指導課に確認する

接道義務を満たしているか、敷地に接する道が建築基準法上の道路として認められているかは、自治体の建築指導課(名称は自治体により異なります)が保有する道路種別の情報を確認しないと正確には判断できません。しっかりと整備された道路に見えても、法律上の道路ではないケースも多々見受けられます。最近ではインターネット上で道路種別を公開している自治体も多いため、事前に道路種別を確認しておきましょう。

建築事務所や不動産会社に相談する

自分で建て替えの可否を確認する自信が持てない場合には、連棟式建物や再建築不可物件の取り扱いに詳しい建築士や不動産会社に相談することをおすすめします。区分所有法にもとづく建替え決議が必要かどうかの判断や、切り離しの構造的な可否については専門的な知見が求められるため、自己判断で進めず、早い段階で専門家の意見を聞くことが重要です。

連棟式建物を建て替えできない場合の対応

調査の結果、建て替え・再建築が難しいと分かった場合でも、選べる対応はいくつかあります。

リフォーム、リノベーション工事を行う

建て替えができない場合でも、既存の建物を活かしたリフォームやリノベーションであれば対応できるケースが多くあります。工事する箇所によっては新築と同じくらいの費用がかかる場合がありますが、耐震補強や水回りの刷新、間取り変更など、住環境を大きく改善することができます。

全住戸の所有者に相談する

自分一戸だけでは建て替えが難しい場合でも、連棟式建物全体、あるいは隣接する複数戸の所有者と協力できれば、区分所有法上の建替え決議や接道条件をクリアしやすくなる可能性があります。ただし、所有者全員の合意形成には時間がかかることが多く、簡単に進む話ではない点には留意しておく必要があります。

現状のまま売却する

建て替えやリフォームでの対応が難しい場合、あるいは権利関係の整理や隣家との交渉に労力をかけたくない場合には、連棟式建物や再建築不可物件のまま売却・買取に出すという選択肢もあります。再建築不可であっても資産価値がゼロになるわけではなく、こうした物件の取り扱いに慣れた不動産会社であれば、現況のまま買い取ってもらえる可能性があります。

まとめ

この記事では、連棟式建物の建て替え・再建築について、建物全体を丸ごと建て替えるケースと、一戸だけを切り離して建て替えるケースに分け、権利形態ごとの条件や注意点を解説しました。

連棟式建物の建て替え可否は、区分所有建物かどうか、敷地が共有か分筆か、接道義務を満たしているかなど、複数の要素によって判断が分かれるため、一律に「できる・できない」と断定することはできません。まずは法務局や役所で権利関係・接道状況を確認し、建築士や不動産会社といった専門家に相談しながら、自分の物件がどのケースに該当するのかを把握することが重要です。そのうえで、建て替えが難しいと分かった場合には、リフォームや売却も含めて現実的な選択肢を検討していきましょう。

当社では、連棟式建物や再建築不可物件など、権利関係が複雑で売却が難しいとされる不動産の相談・買取に対応しております。大阪市内で連棟住宅にお悩みの方は、ぜひお気軽にお問い合わせください。

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