海の近くに家を建てる際の注意点と対策|海に近い家で暮らすメリット・デメリットを紹介

海の近くに家を建てる際の注意点と対策|海に近い家で暮らすメリット・デメリットを紹介

海好きの人は一度は憧れる海沿いの家。海の近くに住めばサーフィンや釣りを気軽に楽しめることから、海の近くで家を建てたいと考える人も多いと思いますが、海沿いの家ならではの注意点があります。

また、海に近い家では穏やかな波音を聞き、毎日開放感を感じながら生活が出来るなどのメリットがある一方で、塩害や津波に備える必要があるなどのデメリットも存在しています。

この記事では、海に近い家で暮らすメリット・デメリットとともに、海の近くに家を建てる際の注意点と対策を解説します。海の近くで物件購入を検討している人はぜひ参考にしてください。

目次

海に近い家で暮らすメリット

海に近い家で暮らすメリット

海に近い家には、都心の住宅とは異なる魅力が多く存在しています。海好きな人の中には海に近い家を探している人も多いと思いますが、海の近くに住むことでどのようなメリットがあるのでしょうか。

まずは海に近い家で暮らすメリットを見ていきましょう。海の近くに住むメリットは主に以下の4つが挙げられます。

サーフィンや釣りなどの趣味を気軽に楽しめる

海の近くに住むことのメリットは、何といっても気軽に海に行けることでしょう。都心に住んでいると、サーフィンや釣りをするために自動車で片道1時間以上かけて海に行く人も多いと思いますが、海の近くに住むと徒歩で海に行くことも可能です。

海の近くに住むことで、仕事前や仕事終わりに気軽にサーフィンや釣りを楽しむことも出来るため、サーフィンや釣りが趣味な人にとっては大きなメリットと言えるでしょう。

家の中からオーシャンビューを堪能できる

大きな窓を海側に配置することで、家の中からオーシャンビューを堪能できます。時間帯によっては海岸線に沈む夕日などを見られるため、自然の美しい景色を楽しむことができるのも大きなメリットです。

海が好きな人にとっては、海を見るだけで癒されるという人も少なくないはずです。日常的にオーシャンビューを見ることができるのも、海の近くに住んでいる人の特権と言えます。

毎日を開放的な気持ちで生活できる

毎日海の近くで生活し、広大な海を見たり感じることで開放的な気持ちになることができます。特に暑い夏の季節は海を見るだけでワクワクする人も多いでしょう。

海の近くに住んでいる人の中には海好きな人が多いため、同じ価値観を持った人たちとの交流の機会を作りやすいのも大きなメリットと言えるでしょう。

新鮮な魚介類を手に入れやすい

海沿いのエリアでは漁業が盛んな地域も多く、今朝に釣り上げられたばかりの新鮮な魚を手に入れやすいため、魚を食べるのが好きな人にとっては嬉しいメリットです。

釣りが趣味の人は、自分で釣った魚をすぐに調理できるのも海の近くに住む醍醐味です。釣ったばかりの魚を食べながら飲むお酒は格別の一杯になるでしょう。

海に近い家で暮らすデメリット

海に近い家で暮らすデメリット

海の近くで暮らすことは様々なメリットがある一方で、いくつかのデメリットも存在しています。海に近い家で暮らすデメリットとしては以下の5つが挙げられます。

塩害の被害を受けやすい

塩害とは、塩分を含んだ風により植物の育成を妨げたり、建物や自動車の金属部分の劣化を進める現象のことをいいます。海に近い家は、海側から吹く風に塩分が多く含まれているため、塩害の被害を受けやすくなります。

外に置いているエアコン室外機や自転車など、あらゆる金属が塩害の対象となります。室内であっても金属製のブラインドやシーリングファンが被害を受ける場合もあるため、定期的な水拭きは欠かせません。こまめに水拭きを行うのを負担に感じる場合もあるので注意しましょう。

強風の影響を受けやすい

海の近くは、海面と陸地の気温の違いから生じる気圧差により強い風が発生しやすいため、海から吹き付ける強い風の影響を受けやすいという特徴を持っています。

昼間は海から陸に向かって風が吹き、夜には陸から海に向かって風が吹くことが多いため、海岸の砂が風によって運ばれ、洗濯物を汚してしまうことがあります。そのため、天気の良い日であっても風が強い日は、室内で洗濯物を干さなければいけない場合もあるでしょう。

湿度が高い

海が近いところでは空気に水分が含まれやすいため、湿度が高くなりやすい傾向にあります。そのため、室内に湿気が溜まりやすくなり、カビや腐食の発生の原因となります。

湿度が高いと洗濯物が乾きにくくなってしまうため、浴室暖房乾燥機や室内干しスペースを活用するのが良いでしょう。窓の配置や間取り、導入設備を工夫して湿気対策を講じることが重要です。

都心と比べて利便性が悪い

全ての海沿い地域に該当するわけではありませんが、海に近い地域はスーパーなどの買物施設が少なく、電車やバスの交通性も悪いため、都心と比べて利便性が悪いのが一般的です。そのため、基本的には自動車での移動が必要となります。

都心で生活していると役所や郵便局、スーパーやコンビニなどが近くにあり、日常での生活に不便を感じる機会は少ないでしょう。海の近くでは各施設と距離があり、一つひとつの用事を済ませるのに時間かかるため、少し不便に感じる人もいるかもしれません。

自然災害の被害を受けやすい

海の近くでは、地震発生時の津波による被害を受けやすくなります。万が一地震が発生した時に備えて、避難経路を事前にしっかり把握しておくなどの対策が大切です。

海沿いの高い場所に住むことで津波の被害を回避することはできますが、高いところは台風の影響を受けやすくなります。台風への対策として、室外に置くものを少なくしたり、耐風性の高い屋根やサッシを選ぶようにしましょう。

海の近くで暮らすのに向いている人の特徴

海の近くで暮らすのに向いている人の特徴

ここまで海の近くで暮らすメリット・デメリットを解説しました。これらの内容を踏まえて、海の近くで暮らすにはどのような人が向いているのか見ていきましょう。

マリンスポーツや釣りなどの趣味を持っている

海の近くでは、マリンスポーツや釣りなどのアクティビティを気軽に楽しめるため、サーフィン・ダイビング・釣りなどのマリンスポーツの趣味を持っている人は、海の近くでの暮らしに適しています。

海の近くでの生活は、都心での生活と比べてゆっくり時間が流れると言われています。そのため、何も趣味を持っていないと、時間が経つにつれて海の近くでの生活を退屈に感じてしまう可能性があります。

毎日の生活を充実させるためにも、マリンスポーツや釣りなどの趣味を持っておいた方が、海の近くでの暮らしに向いていると言えるでしょう。

便利な生活より自然環境を重視している

海に近いエリアでは、スーパーやコンビニなどの買物施設が少ないことも珍しくありません。電車やバスなどの交通性においても都心と比べて劣る傾向にあります。そのため、便利な生活を求めるのであれば都心で暮らした方が良いでしょう。

海の近くでは海の景色を楽しめたり、キレイな星空を見ることが出来るなど自然環境に恵まれています。便利な生活よりも、そのような自然環境を重視している人は海の近くでの生活に適しています。

こまめに水拭きをするのが苦にならない

海の近くでは海水の塩分を含んだ風が吹き、建物や自動車の金属部分を錆びさせてしまいます。そのため、こまめに水拭きをして金属部分を保護する必要があります。

水拭きの頻度は塩害の強弱で異なりますが、最低でも月に一度は、建物の金属部分の水拭きや洗車を行った方が良いでしょう。定期的な水拭きが苦にならない人は、海の近くでの生活に向いていると言えます。

住宅メンテナンスに費用や時間を充てられる

海が近い場所に建てられた住宅は、塩害や強風にさらされるため、どれだけ定期的に水拭きを行ったとしても通常の住宅と比べて劣化が早いとされています。

日常的に風にさらされるエアコン室外機、屋根やサッシなどが傷みやすいため、塗装や部品交換などのメンテナンスをしなければなりませんが、それらのメンテナンスには費用や時間が必要となります。

仕事面での立地的な制約が少ない

多くの企業は事務所を都心に構えており、都心から離れた海沿いの家から通勤するのは難しいケースも少なくないでしょう。そのため、立地的な制約が少ない仕事をしている人が、海の近くでの生活に適しているといえます。

最近ではオンライン会議やテレワークが普及しており、以前と比べて立地的な制約を受けない人も増えてきていますが、海の近くに住むことで仕事に支障をきたさないかを十分に検討する必要があります。

海の近くで土地を探す際に意識したいポイント

海の近くで土地を探す際に意識したいポイント

海の近くで家を建てるためには、間取りプランや住宅設備を考える前に、まずは土地を見つける必要があります。海の近くでは、どのようなポイントを意識して土地を探す必要があるのか見ていきましょう。

地盤の状態を確認する

海の近くに家を建てる場合、地盤の強弱を確認しておきましょう。軟弱地盤の上に建物を建てると「不同沈下」などを引き起こす要因となるので注意が必要です。

海岸沿いの低平地を埋め立てた埋立地には地中に水分を多く含んでおり、地盤が弱い傾向があります。軟弱地盤を強くするためには地盤改良工事が必要となり、工事内容次第で高額な費用がかかります。

地盤の強弱は、地盤調査を行うことで調べることが可能です。地盤調査は10万円ほどで出来るため、土地の購入を決める前に実施しておくことをおすすめします。

なお、地盤調査の方法は主に3種類あります。地盤調査については別記事で詳しく解説しているので、そちらの記事をご参考ください。

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ハザードマップで災害リスクを確認する

地域ごとの洪水・土砂災害・高潮・津波などの災害リスクを把握するために、国土交通省や地方自治体によって防災用地図であるハザードマップが用意されています。

ハザードマップを確認すれば、土地の所在地周辺の災害リスクを確認することができるため、必ず目を通しておきましょう。ハザードマップは役所やホームページで閲覧可能です。

観光シーズンの住環境を確認する

海の近くは海水浴スポットになっていることも多く、暑い夏のシーズンは観光客で溢れていることも少なくありません。静かな環境を望んで土地を選んだはずが、観光シーズンになると夜中まで賑やかな場所に一変してしまう可能性もあるため、観光シーズンの住環境を確認しておく必要があります。

土地の前面道路が海水浴場や人気スポットへの抜け道になっている場合、一日中多くの自動車が行き来することもあるため、週末や休日の交通状況も調べておきましょう。

台風などの気候特性を確認する

海の近くは台風の被害を受けやすい地域も多いため、土地の購入を決める前に地域の気候特性を確認しておくことが重要です。台風は、大雨や暴風で土砂災害・水害・風害などの甚大な被害を引き起こす可能性もあるため、必ず確認しておきましょう。

過去の台風経路図は、気象庁のホームページで確認できます。検討している土地のあるエリアが毎年台風被害にあっている場合は、購入を見送るか台風対策を万全に施すようにしましょう。

海からの距離や眺望を確認する

海の近くといっても、目の前に海があった方が良いのか、徒歩で数分以内で行ける程度の距離があった方が良いのかは人の考え方によってそれぞれ異なります。

基本的には海の近くになる程、塩害・風害・水害を受ける可能性が高くなるため、海からの距離をどの程度保つべきかをしっかり検討しておくことが重要です。

また、せっかく海の眺望を望める土地を購入しても、海の方角や土地の形状によっては海側にリビングや庭を配置できない場合もあるため、事前にある程度の建築プランを考えておいた方が良いでしょう。

周辺施設や交通アクセスを確認する

海の近くは都心と比べて利便性に劣る地域が多いですが、周辺にスーパーやコンビニが全くなければ日々の生活に支障をきたしてしまうため、最低限の生活施設が整っている必要があります。

海の近く出会っても都心近郊のエリアであれば、都心への通勤が可能な場合もあります。将来的に公共交通機関を利用する可能性もあるため、バスや電車の運行状況を確認しておきましょう。

海の近くで家を建てる際の注意点と対策

海の近くで家を建てる際の注意点と対策

住宅を建てる地域や立地によって選ぶべき構造や設備や異なります。地域の特徴や性質を把握し、注意点を理解した上でしっかりと対策を取ることが重要です。

海の近くに住宅を建築する際は、以下の注意点に考慮した家づくりを心がける必要があります。

海の近くで家を建てる際の注意点
  1. 塩害による被害を抑える
  2. 強風による被害を抑える
  3. 高湿度による影響を抑える
  4. 自然災害から身を守る

海の近くに家を建てる際は、これら4つの注意点に対して対策を考えることが重要です。それぞれの注意点に備えて、どのような対策が考えられるか順に見ていきましょう。

塩害による被害を抑えるための対策

海の近くで吹く風には海水の塩分が多く含まれているため、塩害による被害を多く受けてしまいます。塩害の被害を抑えるためには以下の対策が考えられます。

耐塩害仕様の住宅設備を選ぶ

ドアや窓枠などのサッシ、給湯器やエアコンにサビや腐食が発生するのを防止するために、耐塩害仕様の住宅設備を選びましょう。耐塩害仕様を施すことで、潮風による塩害を防ぎ、住宅設備の品質・性能を長時間維持することができます。

国内の主要メーカーの多くは耐塩害仕様の住宅設備を販売しており、幅広いラインナップから自宅に合ったものを選択可能です。高濃度の塩害に悩まされる地域では、さらに耐塩性能の高い「耐重塩害仕様」の住宅設備を検討しても良いかもしれません。

錆びにくい材質の屋根・外壁を選ぶ

最近では多くの屋根材や外壁材が販売されており、それぞれの素材ごとに特徴があります。金属系の素材は錆びやすく、セメントを主原料とした窯業系の素材は錆びにくいとされています。

ただし、窯業系の素材も塗装が劣化すると湿気を吸収し、もろくなる性質を持っています。屋根や外壁にヒビが入ると隙間から水分が建物内部に侵入し建物の劣化を招いてしまうため、定期的にメンテナンスを行うことが重要です。

金属系の素材の中ではガルバリウム鋼板が塩害に強いと言われていますが、塗膜が剥がれるとそこから腐食が広がっていくことも考えられるため、定期的に屋根や外壁の状態を確認し、必要に応じて塗装を行う必要があります。

海側に室外機や自動車を置かない

海水の塩分を多く含んだ潮風は海側から吹くため、サビや腐食が発生しやすいエアコン室外機や自動車を海側に置かないようにすることも重要です。

土地の形状や立地によっては海の反対側に駐車場を設けることが難しい場合もありますが、建築を依頼するハウスメーカーや工務店に相談しながら間取りプランを工夫しましょう。

太陽光発電システムの設置は要注意

海に近い場所では、塩害により太陽光発電システムの構成部品のサビが発生しやすく、強風による飛来物が太陽光パネルに当たる可能性もあるため、故障リスクが高くなります。

太陽光発電システムのメーカーも、海から500m以内の場所(重塩害地域)には設置不可としている会社が多く、海に近い家への太陽光発電システムの設置が難しいケースも少なくありません。

ただし最近は構成部品を室内に設置して対処したり、重塩害地域にも設置できる太陽光発電システムの開発が進んでいます。海に近い場所でも太陽光発電システムを設置できる場合があるため、メーカーに事前に確認しておきましょう。

強風による被害を抑えるための対策

海の近くでは海面と陸地の気温の違いから生じる気圧差が生じ、強い風が発生しやすい特徴を持っています。強風による被害を抑えるためには以下の対策が考えられます。

耐風性の高い屋根材を選ぶ

強風により屋根材が飛んだりめくれたりすると、雨漏りが発生し家に甚大なダメージを与えてしまいます。飛んだ屋根材が近隣の住民に当たり怪我をさせてしまう恐れもあるため、耐風性の高い屋根材を選ぶことが重要です。

基本的に屋根材が重たいほど耐風性が強くなりますが、重すぎると住宅の耐震性能を下げる要因にもなってしまいます。また、どれだけ耐風性に優れた屋根材であっても、施工が雑だと元も子もないため、選んだ屋根材の施工に慣れたハウスメーカー・工務店に施工を依頼しましょう。

屋根材については別の記事で詳しく解説しているので、そちらの記事を併せてご覧ください。

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家の凸凹を少なくし、四角い形状にする

家の凸凹が多いと、塩害や強風の影響を受けやすくなってしまうため、海の近くで家を建てる場合は凸凹が少なく四角いシンプルな家が望ましいとされています。

シンプルな形状だとデザイン的に物足りない感じを受ける人もいるかもしれませんが、使用する外壁材や色の組み合わせでお洒落な外観を作ることは可能です。シンプルな形状にすることで、外壁面に付いた塩や砂を洗い流す作業もしやすくなるため、なるべくシンプルな家づくりを心がけましょう。

屋根の勾配をなるべく緩やかにする

屋根の勾配がきついと強風が屋根面に当たりやすくなり、屋根材が吹き飛んでしまうリスクを高めてしまいます。そのため、屋根の勾配はなるべく緩やかにし、風の影響を受けにくくすることが重要です。

ロフトを作ったりデザイン性を高めるために、どうしても屋根の勾配を設けたい場合には、風が吹きやすい方角を考慮し、風を受け流しやすい方向の片流れ屋根にするなどの工夫をしましょう。

窓ガラスにシャッターを設置する

シャッターは、強風や豪雨から窓ガラスを守るために重要な設備です。窓ガラスにシャッターを設置することで、強風が吹くときでも安心して室内で過ごすことができるでしょう。

シャッターは強風による飛来物から窓ガラスを守ってくれるだけでなく、風が吹き荒れる音や豪雨が窓ガラスに当たる音を軽減する効果が期待できます。

屋内に洗濯物干しスペースを設ける

強風が吹き荒れる日は屋外に洗濯物を干すことができませんが、室内に洗濯物を干すことができるスペースを設けておくことで、天候に関わらず洗濯物を干すことが出来て便利です。

土地の形状や大きさの点から、どうしても建物の南側に洗濯物干しスペースを確保するのが難しい場合には、浴室暖房乾燥機を設置して浴室や洗面所をランドリールームにすることもできます。

高湿度による影響を抑えるための対策

海に近い家は高湿度になりやすいため、住みやすい環境を保つための対策が必要となります。高湿度による影響を抑えるためには以下の対策が考えられます。

断熱性・気密性の高い住宅にする

住宅の気密性を高くすることで、住宅外部の湿気が室内に侵入するのを防ぐことができます。湿気は、鉄筋や鉄骨のサビ、木部の腐食の発生を引き起こす要因となります。

室内と外気の気温差が生じると結露が発生してしまうため、外壁や窓・サッシには断熱性能の高い素材を選び、住宅の断熱性を高めておくことが重要です。

住宅の換気性能を向上させる

住宅の気密性を高めることで、室内の湿気を外部に逃がしにくくなります。室内の湿気を効率的に排出するために、住宅の換気性能を高めておきましょう。

24時間換気システムの設置が義務付けられており、換気システムには、第1種・第2種・第3種があります。給気と排気ともに機械ファンで行う、第1種換気システムの導入がおすすめです。

全館空調システムを導入する

全館空調システムとは、家全体を一台のエアコンシステムで空調し、家全体を快適に保つシステムのことです。屋根裏や基礎内部も含めて空調することで、住宅の湿気コントロールに優れています。

部屋ごとに空調するルームエアコンと異なり、廊下や洗面所、トイレなども含めて空調できるため、各部屋ごとの温度差がなくなり、家中どこにいても快適に過ごすことができます。

全館空調システムの導入を検討する際は、別の記事でデメリットや注意点などを解説していますので、そちらの記事も併せてご確認ください。

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自然災害から身を守るための対策

海の近くでは台風による強風被害のほかに、地震が発生した際の津波被害を受けやすい特徴があります。そのような自然災害から身を守るためには以下の対策が考えられます。

住宅の耐震性能を高める

日本は地震大国で年間2000回ほどの地震が発生しており、震度4以上の地震は年間50回ほど発生しています。海の近くに限らず、日本国内の家づくりにおいて耐震性能を高めることは非常に重要です。

住宅の耐震性能は、耐震性に優れた建築工法を採用するほか、耐力壁を増やしたり免震ダンパー等の耐震設備を設置することで高めることができます。住宅の耐震性能を示す制度も多く用意されているため、建築に充てられる予算や自分の考えに応じて選択するようにしましょう。

建物全体の重量を重たくする

一般的に建物重量が増加すると、地震や津波に対する耐力が強くなるとされています。木造よりも建物重量が重たい「重量鉄骨造「や「RC造」を採用した方が自然災害から身を守るためには良いと言えます。

木造の建物重量を上げるために、屋根材に重たい瓦屋根を選んでしまうと建物の重心が上がり、地震時に建物の揺れが大きくなり逆効果です。木造で建物重量を上げると躯体部分への負担が増し、建物の強度を下げてしまうこともあります。構造種別に合った方法で自然災害対策を施しましょう。

屋上に津波シェルターを設置する

津波が発生した場合の避難経路として屋上を設けておくことは有効な方法ですが、津波の高さが屋上を超えてしまうと屋上も安全な場所とは言えなくなってしまうでしょう。

屋上に津波シェルターを設置しておくことで、万が一想定外の規模の津波が発生した場合も家族の安全を守ることができます。津波シェルターを設置するためには、重量のあるコンクリート住宅であることなどの条件が定められていますが、津波被害が心配な人は検討してみても良いかもしれません。

まとめ

この記事では、海に近い家に住むメリット・デメリットをはじめ、海の近くでの暮らしに向いている人の特徴、海の近くで土地を建てる際に意識したいポイントや家を建てる際の注意点と対策について解説しました。

海の近くでの生活は、サーフィンや釣りなどのマリンアクティビティを気軽に楽しむことができ、毎日を開放的な気持ちで生活ができる一方で、塩害や強風の被害を受けやすく、毎日の通勤や買い物で不便を感じてしまう可能性があります。

また、海の近くで家を建てる際は、土地の購入を決める前にハザードマップや気候特性、平日と休日の住環境の違いをしっかり把握するとともに、塩害・強風・高湿度・自然災害に備えた家づくりを心がけることが重要です。

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