戸建てとマンションどっちが良い?|メリット・デメリット、資産価値・住みやすさを比較

戸建てとマンションどっちが良い?|メリット・デメリット、資産価値・住みやすさを比較

マイホームの購入を検討し始めた際、まず最初に悩むことが「戸建てとマンションどっちが良いのかな…」ということではないでしょうか?特に初めてマイホームを購入する人にとっては、戸建てかマンションかを選ぶ判断材料が少なく、なかなか決めきれない人も多いと思います。

戸建てとマンションにはそれぞれ異なった特徴があるため、それらをしっかりと理解した上で、自分にはどちらが合っているかを判断するようにしましょう。

この記事では、戸建てとマンションの特徴やメリット・デメリットをご紹介するとともに、資産価値や住みやすさといった観点から、戸建てとマンションの比較を行っていきます。

目次

戸建てとマンションどっちが良い?特徴を比較

戸建てとマンションどっちが良い?特徴を比較

まずは、戸建てとマンションの特徴を項目ごとにまとめました。物件ごとに特徴が異なるため一概には言えませんが、一般的な特徴としては以下のものがあります。

戸建てマンション
立地駅から離れるほど物件数が多くなる。立地にこだわるほど土地価格が高くなる。駅から近い物件が多く、周辺に商業施設等の便利施設がある場合が多い。
日当たり駅から近い地域は周辺に高い建物が多いため、日当たりを重視する場合は駅から離れた場所や山手を選ぶ必要がある。高層階だと日当たりは良いが、低層階だと悪い場合がある。また、バルコニーの向きや窓の位置によって大きく変わる。
セキュリティオートロック機能がなかったり、門扉の備わっていない戸建ても多いため、自分でセキュリティ対策が必要となる。オートロック機能が備わっていたり、管理人が常駐しているマンションもあるためセキュリティが充実している。
騒音戸建てはそれぞれが独立しているため上下階への気配りは不要だが、近隣住民に対する最低限の配慮は必要。マンションの多くが鉄筋コンクリート造のため外部の騒音は防げるが、上下左右の部屋に気配りが必要。
管理全て自分で管理しなければいけない。管理会社が清掃や修繕をしてくれる。
資産価値戸建ての多くは木造のため、建物の耐用年数が短く建物の資産価値が下がる速度は速いが、土地の資産価値は残る。建物の耐用年数が長いため、資産価値が下がる速度は遅いが、土地の持ち分が少ないため最終的にはほとんど残らない。
維持費10年~15年に一回、外壁や屋根のメンテナンスが必要となる。マンションごとに異なるが、毎月2、3万円の修繕積立金を支払う。
境界トラブル戸建ては土地所有者同士で境界を決めるため、隣地所有者との人間関係によっては境界トラブルに発展する可能性がある。管理組合によって各住居の専有面積が管理されており、住居ごとの境界自体が存在しないため境界トラブルの心配は無用。
付帯設備必要に応じて、全て自己負担で付帯設備を設ける必要がある。マンションによっては、プールやスポーツジムといった付帯設備が充実している。
駐車場多くの戸建てには、敷地内に駐車場が設けられており、月々の使用料もかからない。多くのマンションでは、駐車場を使う際に月々1万円~2万円の使用料がかかる。
リフォーム法律に則ったリフォームなら自由にできる。管理規約で制限されている上に、工事を行う際は管理組合への申請が必要となる。
建て替え法律に則った建物なら、自由に建て替えができる。マンションを建て替える際は、4分の3以上の議決が必要。
階段・段差戸建ての多くは2階建てもしくは3階建てのため、各フロアの行き来に階段の上り下りが必要となる。マンションの多くにはエレベーターが設置されており、住居内にも段差がないため階段の上り下りが不要。

戸建てとマンションの特徴を紹介しました。次からは、戸建てとマンションの特徴を踏まえた上で、それぞれのメリット・デメリットを解説していきます。

戸建てのメリット・デメリット

戸建てのメリット・デメリット

戸建ては、一つの建物に1世帯もしくは2世帯が住んでおり、それぞれが独立した構造となっています。2階建てや3階建ての戸建てが多いため、マンションと比べて1世帯あたりに必要な土地面積は大きくなります。

そのため、都心から少し離れた位置に建っているケースが多くなり、交通面ではマンションに劣りますが、戸建てならではのメリットも多く存在しています。ここからは戸建てのメリット・デメリットを紹介します。

戸建てのメリット

まず戸建てのメリットを紹介します。戸建てのメリットとしては主に以下の8つがあります。

戸建てのメリット
  • 自由に家づくりができる
  • 専用の庭や駐車場がある
  • 土地の資産価値が残る
  • 毎月のランニングコストが安い
  • 広い居住空間を確保できる
  • 管理組合への参加義務がない
  • プライバシーを保ちやすい
  • 自由にペットを飼育できる

それでは、これら8つのメリットについて詳しく解説していきます。

自由に家づくりができる

戸建てを新築する場合、注文住宅なら間取りやデザイン、住宅設備など全て自由に選ぶことができます。もちろん、建築基準法や条例を守る必要はありますが、自分の理想に近い家づくりは可能です。

土地や建物は自分だけで所有しているため、住み始めてから「庭でガーデニングを楽しみたい!」「外壁を違う色に塗装したい」と思ったら、人の意見に左右されずに実行できます。

マンションの場合は、部屋の中以外は全て共有物として扱わなければいけないため、バルコニー等の利用に関してもルールが定められていますし、外壁を勝手に塗装することもできません。

戸建てであれば建て替えやリフォームを自由にできますが、マンションの場合はリフォームにも制限が設けられており、建て替えは4分の3以上の議決が必要となります。

人の意見に左右されず、自由に家づくりができるのは戸建ての大きなメリットと言えるでしょう。

専用の庭や駐車場がある

土地が広い戸建てでは、敷地内に庭や駐車場を設けることができます。マンションであれば、駐車場や専用庭を使用するために毎月の利用料が必要となりますが、戸建てであれば無料で使用できます。

庭で家庭菜園やガーデニングを楽しむことができますし、天気の良い日であれば洗濯物を干したり、プールを楽しむなど、様々な用途で活用することができます。敷地内に駐車場があることで、大量の荷物があっても楽に運び入れができます。

最近では、都心の土地の狭い住宅にもビルトインガレージやルーフバルコニーを設けることで、専用の庭や駐車場がある戸建てが多くなっています。

土地の資産価値が残る

借地権付きの戸建てを除き、戸建てを購入することで「土地」と「建物」の両方が自分の所有物となります。建物は時間の経過とともに資産価値が低下していきますが、土地の資産価値は残ります。

マンションの場合は、所有者一人ひとりに割り当てられている土地の持ち分はかなり少ないのが一般的です。将来的に建物が老朽化しても、自由に建て替えができないため、土地の資産価値は低い傾向にあります。

戸建てであれば、どれだけ建物が老朽化しても土地の資産価値は残るため、土地を担保にして老後の生活資金を借りることも可能です。

毎月のランニングコストが安い

マンションであれば、住宅ローンの返済以外にも「管理費」「修繕積立金」「駐車場代」など、さまざまなランニングコストがかかりますが、戸建ての場合はそのようなランニングコストは必要ありません。

戸建ての維持管理は全て自分で行う必要があり、将来的なメンテナンス費用は自分で積み立てておかなければいけませんが、メンテナンスのタイミングも自分で決めることができるため、マンションと比べて毎月のランニングコストを抑えることができます。

広い居住空間を確保できる

一般的な戸建ての延床面積は100㎡前後になっていることが多く、マンションよりも広い居住空間が確保されています。4LDKの間取りが多く、4人家族でも広々と生活することができるでしょう。

マンションの平均的な広さは60㎡~70㎡ほどで、間取りも3LDKの部屋が多いです。最近では在宅ワークの人も増えているため、マンションだと手狭に感じてしまうかもしれません。

戸建ては間取りの自由度が高いため、子供部屋や寝室、書斎や納戸など家庭に合った家づくりが可能です。必要に応じた居住空間を確保できるのも、戸建てのメリットと言えます。

管理組合への参加義務がない

分譲マンションを購入すると、管理組合に加入することになります。任意加入とされていますが、区分所有法で「管理組合は区分所有者全員で構成されていること」と定められているため、実質的には強制加入と言ってよいでしょう。

管理組合に加入すると、役職を割り振られることもあるため煩わしいと感じる人も多いかもしれませんが、戸建てでは管理組合自体が存在しないため、参加義務がありません。

最近では共働き世帯が増え、仕事に育児に家事に忙しい人も増えています。そのような人にとっては大きなメリットの一つと言えます。

プライバシーを保ちやすい

マンションは壁や床を隔てて各世帯が共同で生活しているため、上下階や隣人の会話内容が聞こえる場合があります。特に窓を開けている場合は聞こえやすくなるでしょう。また、廊下やエントランスで住民と会う機会も多いため、プライバシーを保ちにくい傾向にあります。

戸建て住宅はそれぞれが独立した建物のため、プライバシーを保ちやすくなります。目隠しフェンスや門扉などを設置することで、さらにプライバシー性を高めることができます。

自由にペットを飼育できる

マンションではペット飼育に対してルールが定められています。小型動物しか飼育できなかったり、そもそもペット飼育が禁止されているマンションも存在しています。すでにペットを飼育している人は、ペット飼育に対する規約を確認しながらマンション探しをしなければいけないため、マイホーム探しが難航する可能性があります。

戸建てであれば自由にペットを飼育することができるため、すでにペットを飼育している人は、戸建てを探した方がマイホーム探しがスムーズに進む可能性が高くなります。

戸建てのデメリット

次に、戸建てのデメリットを紹介していきましょう。戸建てのデメリットは主に以下の8つがあります。

戸建てのデメリット
  • 自分で維持管理をしなければいけない
  • 木造の場合は耐用年数が短い
  • 住宅の性能に差が生じやすい
  • セキュリティ対策が不可欠
  • 境界でトラブルになる可能性がある
  • 再建築ができない物件がある
  • 毎日の生活で階段の上り下りが必要
  • 立地の良い物件を見つけにくい

それでは、これら8つのデメリットについて詳しく解説していきます。

自分で維持管理をしなければいけない

マンションには管理組合があるため、区分所有者全員で維持管理について協議を行い、計画的に管理費や修繕積立金を徴収してメンテナンスを行います。一方で戸建てには管理組合が存在しないため、全て自分で維持管理を行わなければなりません。

庭や駐車場の清掃、庭木の剪定、外壁や屋根の塗装など、戸建ての維持管理には相応の労力と費用がかかります。それら戸建ての維持管理にかかる資金を計画的に準備しておく必要があります。

木造の場合は耐用年数が短い

日本で建てられる戸建ての多くが木造の建物です。国税庁が示す木造住宅の法定耐用年数は22年となっているため、法律上は22年で木造住宅の資産価値はほぼゼロになってしまいます。そのため、20~30年後に住宅を売却しようとしても安い価格でしか売れない可能性があります。

ただし、最近では中古住宅の流通性を高めるために様々な対策が取られており、中古住宅の資産価値を見直す動きが多く見られます。実際には耐用年数が過ぎた後も住み続けることができるため、建物の状態を見極めて正当な評価を付けようとする傾向にあります。

また、法定耐用年数が短いということは、建物の課税標準額が早く下がるということなので、22年後には建物の固定資産税がほとんどかからなくなるという点はメリットとも言えるかもしれません。

住宅の性能に差が生じやすい

戸建ては様々なハウスメーカーや工務店が建築しています。高性能をこだわった住宅を建てる業者やローコスト住宅を建てる業者など幅広いジャンルの業者が存在しており、業者によって住宅の性能や質に大きな差が生じます。

住宅には耐震性・気密性・断熱性・省エネ性など、様々な性能が求められますが、初めてマイホームを購入する人にとっては、住宅性能の違いが分からずに悩んでしまうかもしれません。住宅性能の差を判断するためには相応の知識が必要となるため、ハードルが高く感じる人もいるでしょう。

セキュリティ対策が不可欠

マンションにはオートロック機能が備わっており、管理人や防犯カメラによって常時セキュリティ対策がされていますが、戸建てにはそのようなセキュリティ対策がされていません。

立地によっては周辺から死角になる場所も存在しており、空き巣等の被害に合う可能性もあります。マンションに比べて窓が多いため、シャッターや窓格子を設置する等のセキュリティ対策が不可欠です。

境界でトラブルになる可能性がある

マンションは管理組合によって各住居の専有部分が管理されており、境界自体が存在していませんが、戸建ての場合は、隣地所有者と立ち会うことで境界を確定させます。

かなり昔に建てられた古家を解体して建て替える場合、現地に境界杭や境界鋲が設置されていなかったり、根拠となる資料が用意されておらず、隣地所有者との境界確定が難航する場合があります。

また、境界から植栽が越境していたり、境界上に作られているブロック塀を巡って隣地所有者とのトラブルに発展する可能性も考えられます。

再建築ができない物件がある

戸建てには、昔は問題なく建築が出来ても、現在の法律では建て替えができない「再建築不可」の物件が存在しています。再建築不可物件には「接道義務」が大きく関わっており、中古戸建の購入を検討している人は特に注意が必要です。将来的に建て替えができない土地は、資産価値を大きく下げてしまうことになります。

また、前面道路が私道の場合には、ガスや上下水道管の引き込みに道路の掘削同意が必要となりますが、私道所有者から掘削に同意してもらえず工事が難航する可能性があるなど、戸建ての建て替えには様々なリスクがあることを理解しておく必要があります。

毎日の生活で階段の上り下りが必要

マンションの多くはエレベーターが設置され、住居内もフラット設計になっていることが多いため、毎日の生活において階段の上り下りが必要ありません。そのため、高齢者や足の悪い人にとって生活しやすい環境と言えます。

しかし、戸建てにはエレベーターが付いておらず、2階や3階の行き来のために階段の上り下りが必要となります。若い内は不便を感じなくても、歳を取るにつれて階段の上り下りに不便さを感じてしまう可能性があります。

立地の良い物件を見つけにくい

駅や商業施設が近くにある便利な場所には、高層ビルやマンションが立ち並んでおり、戸建てを建てるための土地を見つけることは簡単ではありません。

特に都心は分譲マンションやホテル、オフィスビルを建設するために多くの事業者が土地を探しているため、一般市場に出回らないことがほとんどです。立地に対するこだわりが強いほど、理想の物件に出会えずにマイホーム探しが難航する可能性が高くなります。

マンションのメリット・デメリット

マンションのメリット・デメリット

マンションは、一つの建物に複数の世帯が生活する集合住宅です。そのため、マンションに住んでいる人全員が快適に生活できるように、様々なルールが管理規約によって定められています。

戸建てと比べて、マンションは1世帯あたりに必要な土地面積が小さく、立地の良い場所に建てられているケースが多いですが、マンションならではのデメリットも多く存在しています。ここからは、マンションのメリット・デメリットを紹介します。

マンションのメリット

まずマンションのメリットを紹介します。マンションのメリットとしては主に以下の8つがあります。

マンションのメリット
  • 立地の良い物件が多い
  • セキュリティ面で安心できる
  • 維持管理の心配が無用
  • ワンフロアで生活できる
  • 共用施設が充実している
  • 気密性に優れている
  • 資産価値が下がりにくい
  • 見晴らしや眺望が良い

それでは、これら8つのメリットについて詳しく解説していきます。

立地の良い物件が多い

バブル期に建てられたマンションには交通アクセスの悪いマンションも散見されますが、最近建てられるマンションの多くは立地の良い場所に建設されています。

国土交通省が公開している「住宅市場動向調査」には、マンション購入者の購入理由として「立地環境の良さ」を挙げる人が一番多いというアンケート結果が出ていることから、マンションを建設するデベロッパーも、建設用地の選定条件として立地の良さを最優先にしており、立地の良いマンションが多くなっています。

駅直結のマンションも数多く存在しており、立地の良さはマンションならではのメリットと言えます。毎日の買い物や通勤へのアクセスを最優先にマイホーム探しを考える人は、マンションを選ぶのが良いかもしれません。

セキュリティ面で安心できる

マンションの多くは、オートロックや防犯カメラが設置されており、防犯性が高くなっています。管理人が常駐してマンションに入ってくる人を監視したり、警備会社と契約して24時間体制で警備をしているマンションも存在しています。

高層階に住んでいる場合は、バルコニーから空き巣に侵入される心配もありません。低層階でも戸建てと比べると、住居内への侵入経路が限定されていることからセキュリティ性が高く、安心して生活することができます。

維持管理の心配が無用

マンションの管理は管理会社に委託されていることが多く、管理会社がマンションの維持管理計画を立て、計画に基づいて区分所有者全員から管理費や修繕積立金を徴収しています。

戸建ては自分で維持管理計画を立てる必要がありますが、マンションは管理会社が維持管理計画を立て、維持管理にかかる資金を徴収してくれるため、維持管理に対する心配は無用です。

ワンフロアで生活できる

マンションの多くにはエレベーターが設置されており、エントランスから住居まで階段を上がらず行くことができます。住居内もワンフロアとなっているため、足腰の悪い人や高齢者も安心して生活できます。

部屋のレイアウトも家事導線を考えたものになっていることが多く、コンパクトな動きで家事を行うことができるようになっています。家事にかかる時間を短縮できるのもマンションのメリットと言えるでしょう。

共用施設が充実している

マンションには住民のみが利用できる共用の施設が充実しています。24時間いつでもゴミ出しができる共用ゴミ捨て場があったり、不在時も荷物を受け取れる宅配ボックスが備え付けられており、生活の利便性を高めてくれます。

グレードの高いマンションには、共用のスポーツジムやプールが備わっていたり、訪問者の宿泊に使えるゲストルームまであります。コンシェルジュサービスを提供しているマンションもあり、ホテルに泊まっているような感覚で生活できるマンションも多く存在しています。

また、マンションの住民同士の交流を促進するコミュニティスペース等もあり、マンション内での友達作りや、子供同士の交流を育むスペースとして活用されています。

気密性・断熱性に優れている

マンションの多くは鉄筋コンクリートで建てられています。鉄筋コンクリートは鉄筋と型枠を組み、そこにコンクリートを流し込んでいきますが、木造と比べて壁内の密度が高く、気密性と断熱性に優れているという特徴を持っています。

気密性と断熱性に優れていると、外部からの空気や熱を遮断することができるため、夏は涼しく、冬は暖かい住環境を保ちやすくなります。空調にかかる電気代を節約でき、毎月の光熱費を抑えることが可能です。

ただし、最近では戸建ての気密性や断熱性を高めた「ZEH住宅」の普及も進んでいることから、一概に戸建ての気密性・断熱性が低いとは言えないようになってきています。

資産価値が下がりにくい

鉄筋コンクリート造は、木造と比べて法定耐用年数が長く設定されています。木造は22年、鉄筋コンクリート造は47年とされているため、戸建てと比べて資産価値が下がりにくいと言えます。

戸建ての場合は、築20~30年経った住宅を売却する際、建物価格はほとんど売却価格に含むことができませんが、マンションであれば建物の資産価値が残っているから高値での売却も期待できます。

ただ、最近は中古住宅の流通性を高めるために「長期優良住宅」や「ホームインスペクション」などの制度が設けられており、中古戸建の資産価値が見直される傾向にあります。

見晴らしや眺望が良い

2階建てや3階建てが多い戸建てでは、周辺に高い建物がある都心で、見晴らしや眺望の良いマイホームを建築するのは至難の業ですが、マンションであれば眺望の良い部屋を比較的簡単に見つけることができます。

特にタワーマンションから見渡す大パノラマは、マンションでしか得られないメリットと言えます。都心で見晴らしや眺望を求める人はマンションの選ぶ方が良いかもしれません。

マンションのデメリット

次にマンションのデメリットを紹介します。マンションのデメリットは主に以下の8つがあります。

マンションのデメリット
  • 毎月のランニングコストが高い
  • 部屋の専有面積が狭い
  • 庭や駐車場がない
  • 楽器の使用に制限がある
  • ペットを自由に飼育できない
  • 騒音や振動のトラブルが起きやすい
  • 自由にリフォームができない
  • 最終的には資産価値が残りにくい

それでは、これら8つのデメリットについて詳しく解説していきます。

毎月のランニングコストが高い

マンションならではのコストとして「管理費」と「修繕積立金」があります。マンションの共用部分や施設の維持管理・メンテナンスに不可欠なコストですが、月2~3万円の出費を負担に感じる人も多いかもしれません。

マンションは「駐車場」や「専用庭」も共用部として扱われるため、使用するためには月々の利用料が必要となります。戸建てと比べて毎月のランニングコストが高くなりがちです。

また、建物が古くなるほどメンテナンスが必要となるため、マンションの修繕積立金も必要に応じて金額が見直されます。定年退職を迎え、収入が減った老後に修繕積立金が増額される場合もあるため、余裕を持った資金計画を立てておく必要があります。

部屋の専有面積が狭い

新築住宅の平均的な広さは、戸建てで90~100㎡、マンションで60~70㎡となっています。間取りも戸建ては4LDKが多いのに比べ、マンションは3LDKが主流です。

戸建てであれば新築時に自分の要望に合わせたプランニングが可能ですが、マンションは決められた間取りから選択することになるため、自分のニーズやライフスタイルに合わない可能性があります。

庭や駐車場がない

都心のマンションは小さな土地に建てられている場合が多く、駐車場が設けられていないマンションが多いです。駐車場があるマンションでも、世帯数よりも少ない台数分しか用意されておらず、駐車場の解約待ちになっているマンションを多く見かけます。

都心で立地の良いマンションほど、建ぺい率と容積率を目一杯使って建てられているため、庭がないマンションが多くなっています。広い庭や駐車場のあるマンションに住みたい場合は、比較的駅から離れた地域や山手のマンションを選ぶ必要があります。

楽器の使用に制限がある

マンションでは、楽器の使用について制限が設けられています。ピアノやギターなどを趣味や仕事で演奏する人は、事前に使用できるかどうかを確認しておくことが重要です。

マンションは壁を隔てて隣の部屋と繋がっているため、どれだけ防音性能の高いマンションであっても、楽器の音が隣の部屋に聞こえる可能性があります。楽器の音を巡ってトラブルに発展することもあるため、楽器使用の制限に関わらず、演奏する際は音量を下げるなどの配慮が必要となります。

ペットを自由に飼育できない

マンションではペットの飼育についても制限が設けられています。制限の内容はマンションによって異なり、犬はNGでも猫はOKなど、マンションごとに様々な制限があります。

すでにペットを飼育している人は当然のこと、将来的にペットの飼育を考えている人は事前にマンションの管理規約を確認しておくようにしましょう。

騒音や振動のトラブルが起きやすい

マンションは構造的に防音性や耐震性に優れており、音や振動を伝えにくくなっていますが、大きな声や走り回る振動は上下左右の部屋に伝わってしまうことがあります。

毎日騒音や振動を発生させてしまうと、上下階や左右の隣人とトラブルに発展する可能性があります。国土交通省が公開している平成30年度マンション総合調査結果では、居住者間のマナーをめぐるトラブルとして、生活音によるトラブルが最も多くなっています。

自由にリフォームができない

マンションでは、管理規約によってリフォーム工事に対して制限が設けられています。フローリングの材質や壁の種類が限定されている場合もあるため、自分のしたいリフォームができない可能性があります。

また、玄関ドア・窓・バルコニー等は共用部扱いとなるため、どうしてもリフォームをしたい場合は管理組合の総会で一定数の賛成をもらわなければなりません。自由にリフォームができる戸建てと比べ、マンションはリフォームに制限がかかるという点に注意が必要です。

最終的には資産価値が残りにくい

不動産の資産価値は「土地」と「建物」の2つに分けられます。木造で建てられた戸建ては、建物の老朽化によって建物の資産価値がなくなったとしても、土地の資産価値は残ります。一方で、マンションは土地の持分割合が少ないため、建物の資産価値がなくなると、ごくわずかな土地の資産価値だけが残ることになります。

マンションの土地は区分所有者全員との共有となっているため、自分だけで売却を決めることはできません。最終的には、マンションを建て替えるか、解体して持分割合で清算するかを決めることになりますが、自分だけで用途を決められないため、資産価値としては非常に低くなってしまいます。

ここまで、戸建てとマンションのメリット・デメリットについて紹介しました。次からは、戸建てとマンションを様々な観点から比較していきたいと思います。

戸建てとマンションどっちがお得?資産価値を比較

戸建てとマンションどっちがお得?資産価値を比較

戸建てとマンションのどちらを購入しようか迷っている人の中には、「将来的にどっちがお得なの?」と悩んでいる人も多いのではないでしょうか?せっかくマイホームを購入するのであれば、将来的な資金計画も考慮してどちらを購入するか判断したいものです。

不動産の資産価値は購入する時期や地域によって大きく異なるため、全ての不動産に当てはめることはできませんが、全国の平均値からおおよその傾向は把握することができるでしょう。

ここからは、戸建てとマンションどちらがお得なのかを判断するために、「購入価格」「維持費」「資産価値」の3つの視点から比較を行っていきます。

購入価格は「戸建て」の方が安い

戸建てとマンションの購入価格の違いは、住宅金融支援機構が公表している「2022年度フラット35利用者調査結果」を元に分析していきます。物件の種類別の購入価格の平均値は以下のようになります。

物件種別平均購入価格
新築マンション4,848万円
土地付き注文住宅4,694万円
建売住宅3,719万円
注文住宅(建物のみ)3,717万円
中古マンション3,157万円
中古戸建2,704万円

上記のデータから、新築・中古を問わず戸建ての方が安いことが分かります。もちろん地域ごとに不動産の販売価格は異なりますが、購入価格を抑えたい人は戸建てを選んだ方が良いと言えるでしょう。

維持費は「戸建て」の方が安い

マイホームを購入すると、戸建てやマンションに関わらず様々な維持費用がかかります。新築のマイホームを購入してから30年間住み続けたときの維持費の比較は以下のようになります。

※マンションの管理費・修繕積立金は合計で月々3万円、駐車場代は月々1万円で計算。

維持費項目戸建てマンション
固定資産税・都市計画税250万円375万円
火災保険・地震保険90万円30万円
修繕費300万円0円
管理費・修繕積立金0円1,080万円
駐車場代0円360万円
合計640万円1,845万円

上記のように、戸建てとマンションでは30年間で1,000万円以上の差が生じる結果となりました。

マンションは鉄筋コンクリート造のため、固定資産税の税額が高くなる傾向にあります。戸建ては木造のため、火災や地震での倒壊リスクがあるため保険料が高くなってしまいますが、それ以外の維持費ではマンションの方が高くなります。

なお、修繕費は外壁や屋根の塗装といった外装リフォームのみを想定しているため、内装リフォームを行う場合には別で維持費が必要となります。

資産価値は下がり方に違いがある

戸建ての多くは木造で法定耐用年数は22年、一方でマンションの多くはRC造で法定耐用年数は47年です。そのため、戸建てとマンションの資産価値には下がり方に大きな違いがあります。

戸建てとマンションの資産価値の下がり方の違い

不動産は「土地」と「建物」の両方で形成されています。戸建ては土地と建物の両方が自分だけの所有物になるのに対し、マンションは土地を区分所有者全員で共有している状態となります。土地だけの資産価値としては、戸建ての方が高いと言えます。

マンションは建物の資産価値が下がる速度は遅いですが、建物の資産価値がなくなった時点で資産価値がほとんど残らない状態となります。ただし、最近ではリノーベション等の普及によって築古のマンションの価値が見直されたり、中古住宅の資産性を高める政策が実施されています。法定耐用年数と実際の建物寿命は異なるため、法定耐用年数が経過した後の建物も売却価格に含まれるケースが多くなっています。

戸建てとマンションどっちが住みやすい?住みやすさを比較

戸建てとマンションどっちが住みやすい?住みやすさを比較

マイホームを探している人にとって、毎日の生活環境はとても重要なポイントでしょう。せっかくマイホームを購入するのであれば、将来も安心して住み続けたいと考えている人も多いと思います。

そこでここからは、様々な観点から戸建てとマンションの住みやすさを比較していきます。比較するポイントは以下の7つとなります。

住みやすさに関する比較ポイント
  • 生活空間の広さ
  • 日当たりや風通し
  • 立地・交通アクセス
  • セキュリティ・防犯対策
  • 近隣とのトラブルリスク
  • 耐震性・地震対策
  • ライフスタイル・自由度

生活空間は戸建ての方が広い

戸建ての多くは、マンションより生活空間が広く設計されています。東京カンテイが公表している住宅データ白書によると、2021年度に首都圏で販売された新築住宅の平均建物面積の平均は以下の通りです。

物件種別平均建物面積
新築マンション61.79㎡
新築戸建て98.9㎡
中古マンション58.94㎡
中古戸建て100.1㎡

戸建てとマンションでは建物面積に大きな違いがあります。地域によって若干の違いはありますが、やはり生活空間は戸建ての方が広いと言えるでしょう。マンションでも4LDKの広い部屋は販売されていますが、当然ながら価格が高くなるので、マンションで広い物件を探す場合は住宅予算の見直しが必要になるかもしれません。

日当たりや風通しは立地による

どちらの方が日当たりや風通しが優れているかは、立地によって異なります。高層の建物が密集した都心などでは、隣接する建物との距離も近く、戸建てでは日当たりや風通しは期待できないためマンションの方が日当たりや立地は良いでしょう。

逆に、駅から離れた閑静な住宅街では隣接する建物との距離が離れており、南面からの日当たりを確保することができます。戸建ては窓を多方向に設けることもできるため、戸建ての方が日当たりや風通しが良くなります。

立地はマンションの方が良い

戸建てと比べると、マンションの方が圧倒的に立地の良い物件が多くなります。もちろん戸建てでも立地の良い物件は存在しますが、数が少ないため競合が多く価格も高額になりがちです。

最近では各地で都市の再開発が行われ、古い商業施設を高層マンションに建て替えるケースも多くなっています。駅直結のマンション等も販売されており、マンションの方が立地は良いと言えるでしょう。

セキュリティ性はマンションの方が高い

マンションにはオートロックや防犯カメラが設置され、管理人や警備会社によって常に監視されています。住居内への侵入経路も限定されており、中・高層階であれば空き巣被害の心配もしなくて済みます。

一方戸建ては、オートロックや防犯カメラは自分で設置しなくてはなりませんし、周辺から死角になる場所も多いため、そこから空き巣に入られる可能性があります。

近隣とのトラブルリスクは両方ある

近隣とのトラブルリスクは、戸建て・マンションの種類に関係なく、「近隣にどんな人が住んでいるか?」が大きく関係しています。人によっては掃除機の音でも騒音と感じることがあり、不快に思うレベルは人それぞれ違うからです。

夜中に洗濯機を回す音でトラブルになることもあります。近隣とのトラブルを回避するかは、いかに良好な人間関係を構築するかが重要です。普段から近隣に気配りをしておけば、多少の物音では文句を言われることもありませんし、境界や越境でトラブルに発展するリスクも低減できます。

耐震性はマンションの方が優れている

戸建ての多くは木造で建てられていますが、マンションの多くは鉄筋コンクリート造で建てられています。地盤や基礎も戸建てと比べて深くまで工事を行うため、耐震性はマンションの方が優れていると言えます。

しかし最近では、住宅性能表示制度で耐震性能が表示されるようになるなど、戸建ての耐震性能に対する関心が高くなっています。耐震性能の高い住宅を建てるハウスメーカーや工務店が増え、一概にマンションの方が耐震性に優れているとは言えなくなってきているのが現状です。

自由度は戸建ての方が高い

マンションは、複数の世帯が一つの建物で生活する集合住宅です。そのため、区分所有者全員に対して管理規約を遵守する義務が発生します。管理規約によって楽器の使用やペットの飼育、リフォームの制限が設けられているため、自由度は低くなってしまいます。

戸建ての場合は、土地と建物は全て自分の所有物となるため、モラルや法律の範囲内であれば自由度の高い生活を過ごすことができます。ライフスタイルにこだわりたい人は、戸建てを選ぶ方が良いかもしれません。

まとめ

この記事では、戸建てとマンションのメリット・デメリットを解説し、様々な観点から戸建てとマンションの比較を行ってきました。マイホーム探しを始めた人にとって、戸建てとマンションどちらを選ぶかは非常に重要なポイントです。自分の考えやライフスタイルに合わない選択をしてしまうと、後々マイホームを買い替える必要に迫られる可能性もあるため、購入を決める前にしっかりと検討しておきましょう。

戸建てとマンションどちらが良いかは、これからの人生設計等によって異なります。生涯住み続けることを考えているなら、維持費が安く将来建て替えもできる戸建てを選び、数年後に引っ越しの可能性があるなら、売却価格が下がりにくいマンションを選ぶのが良いかもしれません。戸建てとマンションの特性を理解し、自分に合った方を選ぶようにしてください。

マンションを選ぶ場合は、すでにデザインや間取りが決められているため、比較的悩まずに購入することができますが、戸建てを選ぶ場合は、土地探しや間取り、デザインや住宅設備など考えることは山ほどあるため、初めてマイホーム探しをする人にとっては少しハードルが高く感じるかもしれません。そのような場合は、専門家に相談することをおすすめします。

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